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​記事

揺れる蝦夷・・・。(1)


陸奥の小田郡でみつけた黄金。この黄金を巡って蝦夷が揺れる。


その様を、作家高橋克彦氏の「風の陣」から読み解いていく。


『「小田郡以外に黄金があること、決して口にしてはならぬ」

 吉風は低い声で言った。

 「うぬも蝦夷なら心得よ。それが知れれば陸奥は戦場となる。過ぎたことは致し方ない。いまさら

 小田の黄金を隠すわけにいかぬ。じゃが、余計なことを洩らせばどうなるか覚悟しておけ。これま

 で蝦夷は無駄な戦さを避けて陸奥守に従って参ったが、今度ばかりは軽々と頷かぬ。争わぬは、ど

 うせ朝廷が陸奥を低く見下していたがゆえ。しかし、黄金を目当てに陸奥を蹂躙(じゅうりん)する

 とあらば命を懸けても守らねばなるまい。この物部も蝦夷に加担する。真っ先に血祭りに挙げられ

 るのはだれか、それも兄にしかと申しておくのじゃな」』


                 (高橋克彦『風の陣』一 立志編 講談社文庫、2018年、 pp17)


蝦夷とは

『古代東北に住む人々は、大和朝廷(ヤマト政権)以来、中央政権から蝦夷(えみし)という蔑称(べっし

 ょう)で呼ばれていた。

 飛鳥時代後期から律令制が始まると、朝廷は広大東北の地を律令国(地方行政区分)に基づき、陸奥

 国(むつのくに)と命名した。

 奈良時代の神亀元年(724)、平城京の朝廷は、陸奥国を統治する拠点として、多賀城(宮城県多賀

 城市)を築いた。』

                 (岩手日日新聞社『岩手宝国』、1992年、p6)




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